痔についてhemorrhoid
内痔核とは
肛門の奥にできる痔で出血したり、ひどくなると肛門の外に出てくる脱肛の状態になります。段階によって軟膏治療や手術が必要となります。
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I度
痔核の脱出なし。
治療方法
痛みはなく、排便時に鮮血を出血することが多い。- 軟膏治療
- 症状によって硬化療法
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Ⅱ度
排便時に脱出するが、自然に戻る。
治療方法- 軟膏治療
- 症状によって硬化療法
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Ⅲ度
脱出して、指で押し込まないと戻らない。
手術療法- 手術療法
- 切除、硬化療法
- 併用療法
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Ⅳ度
指で押し込んでも戻らず、出たままの状態となる。
手術療法- 手術療法
- 切除、硬化療法
- 併用療法
外痔核とは
肛門の出口の付近にできる痔で、痛みがなければ治療の必要はありません。
内出血して血の塊ができると痛みを伴うので、手術が必要となることがあります。
治療方法
できるだけ侵襲が少なく、痛みの少ない方法での治療法を行います。
ジオン注射(ALTA法)や分離結紮法(ぶんりけっさつほう)により痔核を切除せずに根治できる方法を選択すること、術後の痛みを和らげるために麻酔薬(術後1~2週間痛みの感覚が鈍くなる注射)を使用することにより、手術後の生活に支障をきたさないことを心掛けています。
内痔核の場合
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ジオン注射による硬化療法(ALTA 法)
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①4カ所に硬化剤を注入します。
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②痔が小さくなり奥に
引き込まれます。
内痔核内に注射すると痔の血流を減らし、痔を硬くする作用があります。
痔核が小さくなり奥に引き込まれるので、出血や脱肛が改善されます。術後の痛みも少なくお尻にやさしい治療法です。 -
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分離結紮法(ぶんりけっさつほう)
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①痔核の根元を糸でしばります。
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②しぼんできてやがて脱落します。
内痔核や肛門外に脱出した外痔核、ポリープ、皮弁などに用いる方法です。ジオン注射だけでは、改善しない痔に対して行います。
痔核やポリープの根元を2本の糸で縛り血流を遮断して組織を壊死し脱落させます。約10日から2週間で脱落します。
症例によって結紮する回数は異なります。ジオン注射単独で行う場合と、分離結紮法を併用する方法で治療しています。 -
外痔核の場合
血栓性外痔核(血の塊ができている)で痛みが強い場合は摘出手術が必要となることがあります。局所麻酔で摘出します。
裂肛
(れっこう・切れ痔)ANAL FISSURE
硬い便、太い便やひどい下痢便により肛門の皮膚が切れてできる痔です。強い痛みがあり、出血を伴うこともあります。
急性期と慢性期に分類されます。慢性期になると肛門が狭くなることがあります。
治療方法
急性期
軟膏治療や下痢、便秘に対する排便コントロールを行います。
慢性期
肛門ポリープ、肛門潰瘍、見張りいぼなどができて手術が必要となります。
慢性化しないように急性期の治療を続けることが重要です。
痔瘻(じろう・あな痔)ANAL FISTULA
肛門のくぼみから細菌が入り込み、化膿して膿がたまり肛門周囲膿瘍となります。これが自然に破れたり切開することにより膿が排泄されます。約半数の人が膿の管が残り痔瘻が形成されます。
治療方法
肛門周囲膿瘍に対しては切開して膿を出す必要があります。炎症がおさまり瘻管が残り、痔瘻になると手術が必要です。
痔瘻は放置すると瘻孔が多発して複雑化することがあります。複雑化するまでに手術で治療する必要があります。
手術方法
切開開放法
浅い痔瘻(皮膚の下を通る痔瘻)は切開開放法で瘻管を切開します。
痔瘻結紮術
(じろうけっさつじゅつ・シートン法)
痔瘻の原因となっている肛門の奥の穴から膿の出ている皮膚の穴までゴムひもを通します。
ゴムの縮む力を利用して括約筋を少しずつ切断しつつ修復されゴムが緩んできます。ゴムは約2週間ごとに締めて短くしてゆきます。ゴムがとれるまで1~数か月かかります。
肛門の変形や括約筋損傷の少ない手術法です。皮膚から括約筋より外側の瘻管は切除します。